大判例

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東京地方裁判所 昭和46年(借チ)1049号 決定

〔主文〕1 申立人湯田が別紙目録(二)記載の建物に接続して木造二階建居宅床面積一階19.87平方米二階13.24平方米(平面図は別紙図面記載のとおり)を増築(階段を設ける関係で別紙図面のとおり一部改築を含む。)することを許可する。

2 申立人湯田は、相手方に対し、金一八万六、〇〇〇円の支払をせよ。

3 申立人田村の申立を却下する。

〔理由〕(申立の要旨)

1 申立人両名は相手方から別紙目録(一)記載の土地(以下本件土地という)を非堅固建物所有の目的、存続期間昭和六一年三月三一日までの約で賃借中にして、同地上に、申立人湯田は別紙目録(二)記載の建物(以下本件建物という)を、申立人田村は同目録(三)記載の建物を各所有している。右借地契約の賃料は昭和四六年四月一日から3.3平方米当り一ケ月九九円に改められ、現在にいたつている。

2 申立人田村は申立人湯田の実母であり、別紙目録(三)記載の建物が老朽化したので、両者間で相談の上、右(三)記載の建物を取り毀し、申立人湯田が本件建物に主文第一項記載の増築をすることを計画し、借地契約上借地上の建物を増改築するには賃貸人の書面による承諾を要する旨の特約があるので、相手方に右増築の承諾を求めたが、承諾が得られない。

3 よつて、右増築につき賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。

(決定理由)

1 本件の賃料によると、申立の要旨として掲げた前記1、2の事実のほか、本件増築は土地の通常の利用上相当であることが認められるので、申立人湯田の申立は、これを許可するのが相当である(本件の資料によると、借地上の建物は木造平家建とする特約があるが、右特約の合理的根拠はなく、本件増築の許可により右特約は排除されることになる)。

2 田村の申立について

申立人田村は本件土地の賃借人ではあるが、本件申立の増築は申立人田村所有の建物に関するものではないので、同申立人の申立は、これを却下する(申立人田村がその所有にかかる別紙目録(三)記載の建物を取り毀すのは自由で、賃貸人の承諾を要するものではない)。

3 附随処分

本件増築により申立人湯田の住の快適性は増加し、このことは本件土地に対する効用が増加することになるので、この意味において、当事者間の利益の衡平を図るため、同申立人に財産上の給付を命ずるのが相当である。本件の資料によると、本件土地は申立人田村の亡夫田村元吉が賃借したものであるところ、同人生存中に申立人田村が別紙目録(三)記載の建物を、申立人湯田(同申立人は、申立人田村の連れ子であつて、田村元吉の子ではない)が本件建物をそれぞれ建築所有したので、相手方との間に紛議が生じ、相手方は、田村元吉死亡後の昭和四四年東京簡易裁判所に建物収去土地明渡の調停を申し立て、同調停において、申立人両名を本件土地の共同賃借人として認めるかわりに申立人両名が相手方に示談金を支払うこととし、当時既に当初の借地期間が経過していたので、更新料を含めて示談金の額を六五万円とし、これを昭和四五年一〇月末日まで支払うことを骨子とする調停が成立し、申立人両名は右示談金を約定どおり支払つたことが認められるので、右示談金支払の事実を斟酌し、鑑定委員会の意見および給付額に関する従来の裁判例を参考として、給付額を鑑定委員会の示した金一八万六、〇〇〇円と定めるのを相当とする。

本件増築の許可にともない借地期間を変更するのは相当でなく、また、賃料も、鑑定委員会の意見に従い、これを改める必要を見ない。 (小川俊彦)

目録

(一) 東京都文京区小日向三丁目五八番一

宅地 四三九平方米の内214.87平方米(六五坪)

(二) 右(一)地上所在

家屋番号 五八番六

木造瓦葺平家建居宅

床面積 36.36平方米(一一坪)

(三) 右(一)地上所在

家屋番号 一七七番五

木造瓦葺平家建居宅

床面積 23.14平方米(七坪)

図面(略)

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